ポッキーゲーム。ハクウコ
テキトウねつ造設定なのはお約束ってことで。
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「アンちゃん、勝負だ。負けたほうが奢りだから、気合い入れてくれよ」
「はぁ!?なんでそうなる!?」
「なんでぇ、今日が何の日か知らねぇのかい。今日はポキトプリの日って言ってよ、ちょいとした遊びをするんだよ」
「ぽき…なんだぁ?」
「まぁまぁ。やってみたほうが早ぇって」
「知らない自分は勝負に不利だろ!」
「なぁに、簡単な遊びさ。ポキって細長い焼き菓子を端から食い合ってくだけだからよ」
(どこかで聞いたような遊びだな…ポキ…?ポキー…ポッキー…って…)
「今日は11月11日か!?」
「お、おう。そうでぃ」
「それでポッキーとプリッツの日…って、それ、旧世代で流行った…」
「よくわからねぇが、帝が祭事のないこの時期に、何か祭りらしきものをってんで、お考え下
すったもんなんだがよ」
(兄貴~~~!!何流行らせてんだ~~!?)
「自分と誰でやろうっていうんだ?相手によっちゃ奢りのほうがマシだぞ!」
「俺とアンちゃんで勝負だって言っただろう。こいつらまとめてんのは、俺とアンちゃんだからな。互いの大将同士で勝負ってヤツだ」
「ウコンとなら…って、いやいや…こいつらの前でやるんだろ?本気か?」
「…アンちゃんが金のかかる勝負でそんなに渋るたぁ、珍しいな。そんなに嫌なら、無理強いはしねぇが…」
「毎年やってるのか?――そうだ、自分がいないときには誰とやってたんだ!?」
「毎年誰かが勝負はしてたようだな。俺もやるのは今回が初めてだがよ」
「…初めてなのか…」
「ほっとした顔してるが、負ける気はないぜ、アンちゃん」
「負ける気はないって…アレを本気でやるつもりなのか?」
「何を心配してるのか知らねぇが、子供の遊びみたいなもんだ。お、やっとポキが来たな。なか
なかいい感じじゃねぇの!」
(勝負に使うポッキーか… … … って、長っ!?)
「ちょ、アレで勝負するのか!?ポッキーって…1mはあるだろ!?」
「おう。なかなかのもんだろう?あの印のあるところが丁度半分で、あそこまで先に食った方の勝ちだ」
「……はぁ~~~。そういうことかよ~~~」
「…なんでぃ…。またアンちゃんは、ちぃと変な誤解でもしてたんかい?」
「……まぁな……」
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「はぁ~~~…懐が寒い……」
「悪かったな、付き合わせちまって。あの場のノリってもんもあるからよ、許してくんな」
「いや…それはわかってるし、ウコンの所為じゃないからな」
「オシュトルの方からちゃんと祝い金は受け取ってあるからよ。心配すんなって」
「そりゃ助かるが…相変わらず手回しがいいな…」
「帝の祭事の一つなんでな」
「……祭事な……」
「そういや、アンちゃん、何と勘違いしてたんだ?随分渋ってただろう」
「あぁ…。元はポッキーとプリッツの日って言って、焼き菓子を売るための口実イベントってやつでな」
「いべんと?口実?またよくわからねぇ話だが…」
「…………本来は、これくらいの長さで端を咥えあってだな」
「んぐ!?」
「さっきと同じように食い合うんだよ。そうすると……」
「っ!」
「…………」
「…ん、……」
(…こくり…)
「………こう、なるだろうが。だから、誰とあんな人前でやるのかってことを言ったんだ」
「…………」
「ウコン?」
「あ、あぁ…。…確かに…これをあいつらとやれと言われれば…少し、考えるな…」
「いやいや、考える前に断れ!」
「だが、これが本来のしきたりなんだろう?」
「はぁ!?だからこれは、恋人同士とか、意中の相手に仕掛けるもので、ふざけて遊びでやる場合もあるが、普通は少し食ったら、どちらかが負け宣言するか、半分以上食った方が、その時点で離すもので、あんなとこまでするわけないだ…ろ… ………」
「………ハク?」
「…………わ、悪い……いきなりすることじゃなかったよな…」
「? 確かに驚いたが……恋人同士がするもんなら、いいじゃねぇの。そう言ったのは、アンちゃんだろ?」
「~~~~~~完敗……だ……っ!」
「?」
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試合に勝って、勝負に負けた感。